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「カビ型行為」対策の切り札、"問題発掘型アンケート調査"

郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士 郷原信郎 氏

 前回の「『カビ型行為』こそが企業不祥事の『問題の核心』」では、企業の不祥事、コンプライアンス問題を、「ムシ型」と「カビ型」に分類し、このうち、組織内で何らかの場所的・時間的広がりをもって存在している「カビ型」は、通常のコンプライアンス対応では発見が困難で、自浄作用を働かせることも難しいことを指摘した。

 重要なことは、前回紹介したマンションくい打ちデータ改ざん問題や化血研不正問題を含め、近年、重大な企業不祥事に発展している問題の多くが、この「カビ型行為」だということである。

 東芝の不正会計事件のような経営者主導の不祥事であれば、経営そのものの問題であり、経営トップ自らが責任を負うのは当然であり、また、それなりの覚悟もあるだろう。しかし、業務を遂行する現場で潜在化している問題の場合、経営者は、問題が表面化した時点、あるいは、それが避けられなくなった状況になって初めて問題を知ることになる。

 そして、最悪の場合、マンションくい打ちデータ改ざん問題のように、子会社の不祥事によってグループ企業のトップが辞任に追い込まれるということにもなりかねないのである。現場で潜在化している「カビ型行為」をどのようにして発見し、どのように除去していくのか、それは、企業のコンプライアンスの最大の課題だと言えよう。

 組織内で潜在化している問題を把握するための一般的な方法は、内部監査と内部通報制度の2つであろう。しかし、実際にこの2つは「カビ型」の問題行為を発見・把握する機能を十分に果たしているとは言えない。

 内部監査は、その手法自体が、意図的に隠ぺいされた行為を発見するようなものにはなっていない。しかも、長期間にわたって、多くの役職員が関与しているような「カビ型」の問題行為の場合、企業内の1組織に過ぎない内部監査部門が問題を指摘することは容易ではない。

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