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ポケモンGOが示す新市場は「現実・仮想の境」

D4DR 藤元健太郎 氏

 ポケモンGOが示す「ものすごい動員力」には目を見張る。配信開始直後の熱狂的な雰囲気は薄れているものの、平日、休日を問わず、ポケモンGOで遊んでいることが一目でわかる"人の群れ"を街や公園で見かける。企業は常に「人を動かす(顧客を店に呼ぶ)」ことを願い、試行錯誤を繰り返してきたが、ポケモンGOはそれをあっさりと、大規模にやってのけた。

<b>藤元健太郎 氏</b>(ふじもと けんたろう)<br>ディー・フォー・ディー・アール(D4DR)代表取締役社長。野村総合研究所、フロントライン・ドット・ジェーピーを経て現職。ネット販売やマーケティングなどのコンサルティング、調査研究などに従事。日経MJの「奔流eビジネス」でコラムを執筆中。 藤元健太郎 氏(ふじもと けんたろう)
ディー・フォー・ディー・アール(D4DR)代表取締役社長。野村総合研究所、フロントライン・ドット・ジェーピーを経て現職。ネット販売やマーケティングなどのコンサルティング、調査研究などに従事。日経MJの「奔流eビジネス」でコラムを執筆中。

 日経MJの連載コラム『奔流eビジネス』の執筆陣の1人である藤元健太郎氏(D4DR社長)はこう話す。「ポケモンGOのすごいところは、現実の空間にポケモンGOの仮想空間をぴたりと重ね、仮想空間を通して現実の空間に新しい価値を与えたことです。その価値を求めて街や公園で人が動き、群れをつくりました。そこには大きなビジネス機会が潜んでいます」

 そもそもインターネットやスマートフォンなどによって、店舗やコミュニケーションの場など様々なものが仮想化されてきている。このトレンドの本質は「現実と仮想が交じり合うところに変化があり、商機があること」と藤元氏は指摘する。その形は常に進化し、多様化している。ポケモンGOはその1形態と考えるべきだろう。

「ITを使って人を動かす」流れがポケモンGOで花開く

約2900のマクドナルド店舗は、それぞれポケモンGOの「ジム」か「ポケストップ」に指定されている。写真の店舗は「ジム」なので、ポケモンGOのマップにはジムの3Dアイコンが表示されている。 約2900のマクドナルド店舗は、それぞれポケモンGOの「ジム」か「ポケストップ」に指定されている。写真の店舗は「ジム」なので、ポケモンGOのマップにはジムの3Dアイコンが表示されている。

 ポケモンGOの動員効果にいち早く目を付けたのは、ご存じの通り、日本マクドナルドだ。同社はポケモンGOの国内配信開始と同時に、プレーヤーが対戦やアイテムを求めて集まってくる「ジム」「ポケストップ」を国内約2900のマクドナルド店舗と重ね合わせ、集客に活用している。非常に素早い対応だったといえるが、藤元氏は、伏線があったと話す。

 「IT(ゲーム機)を使って人を動かすマーケティング施策は、以前から日本マクドナルドが取り組んできたことでした。昨年までマクドナルド店内に設置されていたニンテンドーDS向けのWi-Fiサービス『マックでDS』を使って、レアなポケモンをダウンロードしたり、ポケモンのミニゲームを楽しんだりできるようにしていたことがあります。当時は大勢の子どもたちが来店し、ITを使って人を動かすというマーケティングの効果は実証されていました。実はドイツのマクドナルドも日本の真似をしています。だから日本マクドナルドは、いち早くポケモンGOとのコラボを決めたのではないでしょうか」

 この手のマーケティング施策は、最近の言葉で言い換えれば「O2O(オンライン・ツー・オフライン)」の一種といえる。ポケモンGOのようにプレーヤーの現在地(位置情報)をゲームに取り込み、プレーヤーが現実空間を移動することでゲームが進む「位置情報ゲーム(通称:位置ゲー)」とコラボレーションすることで、集客効果を何倍にも高めている。

 「位置ゲーには、『ケータイ国盗り合戦』や『コロニーな生活(コロプラ)』、最近では『イングレス』のようなヒット作があり、以前から企業とのコラボも盛んです。ポケモンGOは、脈々と続く位置ゲーの流れに乗りつつ、ポケモンという世界中で人気のキャラクターを組み合わせたことで社会現象となるほどの大ヒットになりました」

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