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石川善樹の「脳とうまく付き合う法」

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ここぞの場面で揺らがないルーティンとは

ビリヤード日本一・土方隼斗氏に聞く

予防医学者 石川善樹氏

 予防医学者の石川善樹氏がさまざまな分野のエキスパートと対談しながら、脳とうまく付き合う方法を探る連載シリーズ。第7回のお相手は、いま国内最強といわれるプロビリヤード選手の土方隼斗氏です。実力が拮抗し、年に2回優勝するのも難しいと言われる国内の大会で、今シーズンはすでに6回も優勝。驚異的な勝率をマークしています。偶然に左右されやすいうえ、メンタルが勝敗を分ける比重が大きいこの競技で、なぜ勝ち続けられるのか。理由を聞くと、ビジネスパーソンにも通じる心構えの大切さが浮かび上がってきました。

ビリヤードは「確率」の競技

石川 善樹氏(いしかわ よしき)<br>

1981年広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科卒業後、ハーバード大学公衆衛生大学院修了。「人がより良く生きるとは何か」をテーマとして学際的な研究を行う。専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学、マーケティング、データ解析等。講演や、雑誌、テレビへの出演も多数。NHK「NEWS WEB」第3期ネットナビゲーター。著書に『疲れない脳をつくる生活習慣』(プレジデント社)、『最後のダイエット』『友だちの数で寿命はきまる』(ともにマガジンハウス)など。 石川 善樹氏(いしかわ よしき)
1981年広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科卒業後、ハーバード大学公衆衛生大学院修了。「人がより良く生きるとは何か」をテーマとして学際的な研究を行う。専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学、マーケティング、データ解析等。講演や、雑誌、テレビへの出演も多数。NHK「NEWS WEB」第3期ネットナビゲーター。著書に『疲れない脳をつくる生活習慣』(プレジデント社)、『最後のダイエット』『友だちの数で寿命はきまる』(ともにマガジンハウス)など。

石川 土方さんに対談をお願いしたのは、先日、数人でビリヤードを教えていただいたとき、「超オモシロい!」と思ったからです。もともと、私はいろいろな分野で高いパフォーマンスを出し続けている人の研究をしていて、ぜひじっくりとお話をうかがいたいなと。

土方 ありがとうございます。

石川 いきなり土方さんを差し置いてなんですが(笑)、ビリヤードには野球界におけるイチローのような、伝説的なプレーヤーっているんですか?!

土方 います! フィリピンのエフレン・レイズ選手です。もう60歳をすぎた大ベテランですが、大きな国際大会は必ずと言っていいほど制しています。ビリヤードって、世界的にみても勝ち続けられる選手ってほとんどいないので、この世界では誰もが認める「神様」的な存在です。

石川 そうなんですか。なぜ、こんなことを聞いたかというと、先日レッスンしていただいた時、「この位置だと、プロなら10回中6回は入れます」と話されていて、「あっ、ビリヤードって確率なんだな」と思ったからなんです。確率の競技であるということは、勝ち続けるのは難しいのかなと。

土方 ほかの人はどうかわかりませんが、僕は確率で考えるようにしてます。たとえば、入る確率が20%くらいしかないのに攻めていっても意味がない。自分の中で実力をわかっていないと判断できないのです。

石川 なるほど。

土方 ビリヤードが他の競技と一番違うところは、試合中に自分が1回もプレーすることなく終わる可能性もあるってことなんです。

石川 ええっ!? そんなことってあるんですか。

土方 ええ。一番ポピュラーな「ナインボール」というゲームは、1番から9番まで書いてあるボールを順番に落としていき、9番を落とした方が勝ちます。それを1セットとして、7セットとか9セット先取した方が勝ちなんですが、相手が1回も失敗しなければ、そのまま試合が終わっちゃう。そうなると世界チャンピオンでも勝てないんです。

石川 それってタマにあるんですか。

土方 まずないですけどね。ただ、相手がミスったショットで、すごく難しいボールの配置になることはよくあります。ボールとボールがすごく近くなるとか。狙ったわけではないのに、プロでも打てない絶妙のショットになる。だから、強い人がいつも勝てるとは限らないわけです。

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