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米軍式 人を動かすマネジメント

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田中公認会計士事務所 所長 田中靖浩 氏

人間中心の「アジャイル、直観、レッスン・ラーンド」

 このように臨機応変で相手に合わせて動くためには、パイロットの主導権が保証されなくてはなりません。それが最後の「(3)トップダウンではなく、現場を中心にすること」です。パイロットはトップダウンで発せられる命令を逐一聞いているヒマはありません。パイロットが自らの直観で動けないと瞬時の対応ができません。ビジネスでも、いちいち本社にお伺いを立てている余裕がないときは、現場の判断で自ら動かねばなりません。

 経験豊富な経営トップやエリートの集まる経営企画部でも「先を見通すことができない」ならば、現場に主導権を与えることも必要です。

 米軍は、OODAループをもとに展開する機動戦で、「アジャイル、直観、レッスン・ラーンド」を重視しているそうです。

 まず、OODAによって、「アジャイル(俊敏)」な組織運営を目指します。OODAは、アジャイルな組織づくりに有効です。そのOODAでは「直観」が重視されます。データ分析中心の風潮が高まるにつれ、直観は当てにならないという声が高くなります。しかし、経験豊富で高い精神性をもつ者の直観は、ときにデータ分析の結果を上回ります。OODAは、そんな人間のもつ直観を重視しました。

 またOODAはループとして表現されています。そこには「経験や将来を想定した演習
などから学ぶ」姿勢があります。米軍はこれを「レッスン・ラーンド(Lesson Learned)」と呼びます。レッスン・ラーンドの姿勢を重視することで、未来への視野が広がります。

 「アジャイル、直観、レッスン・ラーンド」そのすべてに、人間中心の姿勢があることは注目すべきポイントです。

田中 靖浩 著 『米軍式人を動かすマネジメント』(日本経済新聞出版社、2016年)第1章「機動戦経営とは何か?」から

田中 靖浩(たなか やすひろ)

田中公認会計士事務所所長、東京都立産業技術大学院大学客員教授。1963年三重県四日市市出身。早稲田大学商学部卒業、外資系コンサルティング会社を経て現職。「笑いのとれる会計士」としてセミナー講師や執筆を行う一方、落語家・漫談師とのコラボイベントも手がける。近年は、スモールビジネスや中小企業の経営のサポートを全力投球中。著書に『実学入門 経営がみえる会計』『良い値決め 悪い値決め』『40歳からの"名刺をすてられる"生き方』『クイズで学ぶ孫子』(共著)ほか多数。

米軍式 人を動かすマネジメント

著者:田中 靖浩
出版:日本経済新聞出版社
価格:1,728円(税込)

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