日本経済新聞 関連サイト

米軍式 人を動かすマネジメント

記事一覧

なぜF86は高性能のミグ15に勝利できたのか?

田中公認会計士事務所 所長 田中靖浩 氏

 ボイドのOODAはドッグ・ファイトを戦うパイロットが頭の中で繰り返す思考回路を、「観察(Observe)・方向付け(Orient)・決心(Decide)・実行(Act)」のループとして表現しました。

OODAループ図

ジョン・ボイドのOODAループ

 OODAのはじまりは、敵機の位置や動きをよく「Observe =観察」することです。パイロットは目の前に現れた敵機の種類、飛行速度、移動方向や、自らとの位置関係など
の状況を観察し、把握します。そのためには戦闘機の視野の広さが必要であり、視野が広く取れれば、それだけで敵に対して優位に立てるのです。

 パイロットは、この観察によって状況判断し、「Orient =方向付け」を行います。空中戦を戦うパイロットには複数の代替案を比較検討している余裕がありません。そのため方向付けは直観に基づいて行われます。どうすれば敵機の後方に回り込めるかを瞬時に判断するのです。もし後ろに回るのが不可能ならパイロットは再び敵機の「観察」を行って別の方法を考えることになります。

 ここでパイロットが精神的に不安定だったり、誤った先入観をもってしまうと正しい状況判断や方向付けができません。緊張感の高いドッグ・ファイトに耐えられるだけの資質、それを鍛える訓練が必要になります。

 次が「Decide =決心」です。これはパイロット自身が自らの判断によって行うことになります。陸上戦の計画であれば複数の人間が合意した上で意思決定されますが、パイロットは方向付けと同時に操縦桿を動かします。ここでは方向付けと決心が同時に行われることになります。

 最後が「Act =実行」です。これは方向付けし、決心した行動を実行に移すプロセスです。パイロットは敵機の後ろに回るべく操縦桿を握って「実行」します。しかしその「実行」に対して、敵機もすぐに反応するので状況は直ちに変化します。敵機が思わぬ動きをとることもあるでしょう。この場合、もういちど最初に戻って「観察」からはじめます。

PICKUP[PR]