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中国発 世界連鎖不況

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中国ショック、最大の「被害者」は日本

みずほ総合研究所

 安倍政権発足から3年半、日本銀行による大胆な金融緩和の後押しを受けて、日本経済を苦しめた円高は大きく修正された。米国の利上げ観測後退などで足元は円高に振れているとはいえ、1ドル=110円近傍の水準は、一時1ドル=75円台を記録した2011年のことを思えば隔世の感がある。

中国との分業深化があだに

 円安は、当然のことながら輸出企業にとって追い風となる。円安となった分だけドル建ての輸出価格を引き下げる余地が広がるからだ。しかし、日本の輸出数量をみると、円安に転換した2013年以降もほぼ横ばい圏の推移にとどまっている。国内の生産活動が盛り上がりに欠けるのは、こうした輸出の停滞が原因だ。

 輸出が伸び悩んでいるのは、欧米向けの不振に加えて、これまで輸出を牽引してきたアジア、とりわけ中国向け輸出が低迷した影響が大きい。実際、中国向けの輸出数量指数は、2010年をピークに減少に転じ、この5年間で2割以上も減少した。2010年までは年率12.5%のペースで拡大していただけに、その不振ぶりは目に余るものがある。

 中国経済減速が輸出不振の主因であるのはいうまでもないが、同時に日本と中国の分業体制の深化が景気減速の影響を増幅させた面も見逃せない。安価で豊富な労働力を武器に世界の工場として台頭した中国だが、それを陰で支えたのが日本からの部品や資本財供給というわけだ。

 事実、日本の中国向け輸出金額は、生産拠点としての中国の発展と歩調を合わせるように拡大してきた。2000年時点で3兆円程度だった日本からの輸出額は、足元で13兆円と4倍に拡大し、今や最大の輸出先である米国と肩を並べる存在となっている。

 しかも品目別の内訳をみると、部品や原材料といった中間財や工場の設備などに利用される資本財が9割近くを占めており、製造業への依存度の高さが特徴だ。

 こうした中国との分業深化は、中国の生産活動が順調に拡大しているときはよいが、ひとたび歯車が狂うと、依存度の高さゆえに負の側面が目立つようになる。生産拡大を受けて旺盛な設備投資需要が続いた後となれば、なおさらのことだ。

 中国では過剰設備とその背後にある過剰債務の調整に着手したばかりである。そうした状況に鑑みると、中国特需を享受した日本の輸出企業に吹きつける逆風は、さらに強まることはあっても、当面止むことはないと覚悟すべきだろう。

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