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中国発 世界連鎖不況

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中国経済、想定される最悪シナリオ

みずほ総合研究所

 中国政府は、短期的には財政・金融政策により景気が底割れするのを防ぎつつ、中長期的にはそれに依存せずとも持続的な成長が可能になるよう改革を進めていく姿勢をみせている。問題は、これらの施策を通じて経済のソフトランディングを果たせるかどうかである。経済をソフトランディングさせるうえで、中国にはいくつかの有利な条件があることも確かである。なかでも、財政余力がまだ残されている点は特筆に値する。

ソフトランディングを果たせるか

 中国の政府債務残高は中央・地方合わせて約34兆元、国内総生産(GDP)対比で約53%である(上記は地方政府債務残高に国債残高を加えた数値、2014年末)。この数値自体、必ずしも低いわけではないが、政府債務を拡大させる余地が中国にはある。

 中国は、政府債務をGDP対比2倍以上に積み増してきた日本同様、国内に余剰資金を抱えているからである。その証拠に中国は経常黒字の状態にあり、2015年現在、対GDP比で2.7%の経常黒字を維持している。中国政府はこの余剰資金を国債の発行などにより吸収し、景気対策や金融機関の救済に使うことができる。

 また、1994年以来、経常黒字が続いてきたことなどから、外貨準備も潤沢である。近年の資本流出によって減ったとはいえ、その額は2016年3月末時点で3.2兆ドルと、まだ多い(2015年の外貨準備の対GDP比率は約3割で、日本とほぼ同水準)。

 過去にも中国政府は、外貨準備を用いて経営難に陥った商業銀行や政策性銀行に資本注入をすることで経済と金融の安定を保ってきたが、同様の措置をとる余地が中国政府にはまだ残されているといえるだろう。財政が弾切れとなり、中国経済が腰折れする可能性は当面ないだろう。

「健全性維持」と「成長維持」のジレンマ

 しかし、中国経済がハードランディングに陥るリスクが皆無なわけではない。中国政府は経済の「健全性維持」と「成長維持」という2つの政策課題を両立させることを求められているが、この2つの課題の間で政策が揺れ動き、それがきっかけとなってパニックが生じる恐れがないとまでは言い切れないからだ。

 例えば、4兆元の景気刺激策の後遺症に苦しんでいるからといって、「健全性維持」に大きく舵を切ると、かえって中国経済を苦境に陥れる恐れがある。生産能力過剰業種のリストラを急げば、失業者の増加や賃金カットを通じて、経済は強い下押し圧力を受けることになるだろう。

 しかも、鉱業・建材といった生産能力過剰業種は、国有企業が多いセクターでもある。過剰生産能力の解消を急ぐ過程で国有企業の破綻が相次げば、「暗黙の政府保証」の下、国有企業に対して投融資をしてきた人々が手を引き、経済や金融が不安定化する恐れもある。地方政府債務問題の解消を図るために、財政規律を強めすぎれば、地方政府が景気対策を打つことが困難にもなる。

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