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失敗する改革に「無意識なジコチュー」あり

マネジメントソリューションズ 高橋清貴 氏

 前回の『いつも「生ぬるい改革」に終わるトラウマの正体』では、改革・改善活動における私の失敗経験をもとに、社内の抵抗(特に「見えない抵抗」)への対処こそが改革・改善活動の成否を大きく左右する、という話をしました。

 あなたの会社ではどうでしょうか。いつも改革・改善プロジェクトの立ち上げはスムーズなのに、いつの間にか社内から大きな抵抗を受けてしまう――こんなことを繰り返しているのであれば、改革・改善活動において「見えない抵抗を生む隙」をつくっている可能性があります。その隙はたいてい、改革・改善の推進側にある「無意識なジコチュー(自己中心主義)」から生まれてきます。

 今回は、この「見えない抵抗を生む隙」について考えてみましょう。

現場の不安を放置すると、見えない抵抗に転じる

 「見えない抵抗」とは、文字通り、改革・改善の推進側からは見えていない抵抗です。「何に対して抵抗しているのか、抵抗側の気持ちがわからない」ため、適切な対応をとれないリスクをはらんでいます。最悪の場合、改革・改善プロジェクトが頓挫してしまうことは前回述べたとおりです。

 見えない抵抗を生む原因は、一言でいうと改革・改善の推進側が「情報を正しく共有していない」「社員側から発せられる反応を正しく捉えていない」という2点に尽きます。

 登山にたとえると、わかりやすいと思います。頂上(ゴール)があるのはわかっていても雲で見えず、そこに至るまでのルートや天気に関する情報もなく、現在バックパックに何が入っているのかさえ知らない状況だったとするなら、とても不安になり、リスクを背負ってまで登山しようとは考えないでしょう。

 改革・改善の取り組みも全く同じで、改革・改善の目的・ゴールを理解していても、そこに至るまでの見通しが悪く情報が少ないと、社員はとても不安になるものです。そうした不安を改革・改善の推進側がくみ取らずに対処を怠ると、時間の経過とともに、社員たちが疎外感のような感情にとらわれ、不信感や不満に結びつき、見えない抵抗に変化するわけです。

「言葉にできない発言」に本質が隠れている

 ある大手メーカーの組織改革プロジェクトにおいて、見えない抵抗の「芽」に気づいたときの話をします。

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