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日本企業はサプライチェーンで児童労働がないことに努めよ

ノーベル平和賞受賞者カイラシュ・サトヤルティ氏に聞く

 「日経ソーシャルイニシアチブ大賞」第4回の国際部門賞は、児童労働禁止を訴え続ける認定NPO法人ACEが受賞した。ACEの活動のきっかけは、代表の岩附由香さんが大学生だった1988年、ノーベル平和賞受賞(2014年)のカイラシュ・サトヤルティ氏が主導する「児童労働に反対するグローバルマーチ」に触発されたこと。そのサトヤルティ氏がこのほど来日、ノーベル平和賞受賞以降の人権活動の様子をうかがった。

国連「2025年までに児童労働完全撤廃」を採択

カイラシュ・サトヤルティ氏<br>

児童労働に反対するグローバルマーチ代表、教育のためのグローバルキャンペーン(GCE)代表理事、国連教育科学文化機関(ユネスコ)EFAハイレベルグループメンバー<br>

1954年1月11日、インド・マディヤプラデシュ州ビディシャ生まれ。1980年、子どもの強制労働や人身売買を撲滅するための団体、BBA/SACCS・南アジア奴隷解放連盟を設立。1998年、世界110カ国のNGOや組合が参加して世界中を練り歩く「児童労働に反対するグローバルマーチ」を発起。以来、8万人以上の子供たちを児童労働や貧困問題から救ってきた。長年の人権活動がたたえられ、2014年に当時17歳のマララ・ユスフザイさんと同時にノーベル平和賞を受賞

カイラシュ・サトヤルティ氏
児童労働に反対するグローバルマーチ代表、教育のためのグローバルキャンペーン(GCE)代表理事、国連教育科学文化機関(ユネスコ)EFAハイレベルグループメンバー
1954年1月11日、インド・マディヤプラデシュ州ビディシャ生まれ。1980年、子どもの強制労働や人身売買を撲滅するための団体、BBA/SACCS・南アジア奴隷解放連盟を設立。1998年、世界110カ国のNGOや組合が参加して世界中を練り歩く「児童労働に反対するグローバルマーチ」を発起。以来、8万人以上の子供たちを児童労働や貧困問題から救ってきた。長年の人権活動がたたえられ、2014年に当時17歳のマララ・ユスフザイさんと同時にノーベル平和賞を受賞

-- 幼い頃、学校の門前で靴磨きの親子を目にし、学校に通う自分との違いに疑問を抱いたのが活動の原点とか。26歳で電気技師から、児童労働や貧困の問題に取り組む活動家に転じ、8万人以上の子供たちの救出に尽力されました。その功績がたたえられ、2014年にノーベル平和賞を受賞されましたが、受賞後、この問題に取り組むに当たってご自身や、世の中の状況に変化はありましたか?

サトヤルティ氏 何が変わったかというと、私自身、とっても忙しくなりましたね。なぜかといえば、ノーベル平和賞受賞を機に、子供の問題について、政治的、社会的、また経済的にも、より高いレベルで取り上げられ、議論できるようになったからです。この問題の関心が世界的に高まったと言えます。これは、大きな変化であり、意義のあることだと思います。また、市民社会組織(CSO)やNGO団体などでこの問題に取り組んできた皆さんも、「よりパワーを得た」「励まされた」と感じているのではないでしょうか。

 具体的には、児童労働問題を「持続可能な開発目標(SDGs)」 の中に入れ込むことができたというのが、1つの大きな成果です。SDGsとは、2015年9月の国連総会で採択され、2016年1月に発効された「持続可能な開発のための2030のアジェンダ」のことで、「強制労働、現代の奴隷、人身売買を撤廃するための即時的な措置を取り、子供兵士を含む最悪の形態の児童労働の禁止及び撤廃を確保し、2025年までにすべての形態の児童労働を終焉させる」と明記されています。

 児童労働の問題は、SDGsの前にあり、2015年に期限を終えた「国連ミレニアム開発目標(MDGs)」には入っていませんでした。そういう意味で、MDGsに入っていなかったものが、SDGsに入ったというのは、極めて意義深い、大きな変化なのです。そして、SDGsは世界中の人々に新たな認識をもたらしました。それは、「児童労働をなくすことができなければ、持続可能な開発は実現できない」という認識です。

-- ということは、児童労働問題の本格的な議論は、まさにこれからということですね。この問題には、まだ課題が多く残されているかと思いますが、どのように取り組んでいかれますか?

サトヤルティ氏 そうですね、まだ、チャレンジすることは多く残っています。国際労働機関(ILO)の2013年の推計によれば、世界には1億6800万人の児童労働があるといわれています。そのうちの8500万人が危険な状態、あるいは奴隷状態で働かされているそうです。そのくらいの子供たちが児童労働に苦しんでいるという意味では、現状の課題はまだ多いのです。

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