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日経ソーシャルイニシアチブ大賞関連特集

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捨て犬が災害救助犬に 声なき声を救う

認定NPO法人 ピースウィンズ・ジャパン

 「日経ソーシャルイニシアチブ大賞」第4回の大賞は、災害救助犬の育成や犬の保護活動に取り組む、認定NPO法人「ピースウィンズ・ジャパン」が受賞した。1996年の設立以来、イラクなど世界の紛争地域で人道支援にあたり、2010年から「犬の殺処分ゼロ」を目指す活動を展開する。本格的に乗り出した国内事業の中心軸がなぜ「犬の殺処分ゼロ」だったのか。「声なき声を救う」変わらぬ思いとは。

殺処分対象だった災害救助犬・夢之丞

「ピースウィンズ・ジャパン」が運営にかかわる自然体験型施設「神石高原ティアガルテン」のドッグランでかけまわる保護犬たち 「ピースウィンズ・ジャパン」が運営にかかわる自然体験型施設「神石高原ティアガルテン」のドッグランでかけまわる保護犬たち

 これまで海外の紛争地域や災害の起きたエリアで被害にあう人々を医療、教育、食料の分野など様々な分野で支援してきたピースウィンズ・ジャパン(以下PWJ)。設立から10年を超え、大西健丞代表理事らは国内の課題解決に乗り出すことを決めていた。

 急激な人口減少にともない過疎地で起きつつある医療や教育の課題を検証していたとき、大西さんは「捨て犬・捨て猫の殺処分」という事実に出会う。被災地などで行方不明者の発見などに活動する災害救助犬を育てる取り組みを考えていたところだった。通常、自衛隊などで活動する災害救助犬は、祖父の代から活動する遺伝子のなかから能力のあると認められた「エリート犬」だ。大西さんは難しいと思いつつも「もし殺される犬が災害救助犬で育てられたら」と考え、「犬をもらいたい」と愛護センターに向かった。

 「コンクリートと金属の冷たいガス室(処分機)には、消毒後の塩素の匂いが残っていた。アウシュビッツよりも合理的で陰湿なやり方で声も出せない動物が殺されている。先進国、しかも母国でこんなことが起きていたと信じられなかった」

殺処分直前で救われた夢之丞。恐怖におびえ震えていた(提供:ピースウィンズ・ジャパン) 殺処分直前で救われた夢之丞。恐怖におびえ震えていた(提供:ピースウィンズ・ジャパン)

 その日、大西さんに譲渡する対象として残されていた3頭以外は、朝すでに処分されていたという。ところが、ガス室のそばになぜか1頭だけ残されていた。この子犬が現在、災害救助犬として活動する夢之丞(ゆめのすけ)だ。この日、大西さんは夢之丞を含め4頭の犬を連れて帰った。殺処分の現状を知り、まずこの現状を変えるべく「ピースワンコ・ジャパン」事業を立ち上げた。「声なき声側に立って支援する」、その信念が動いた。

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