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石川善樹の「脳とうまく付き合う法」

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人間の限界はどこまで広げられるか

世界選手権で2度の銅メダル・為末大氏に聞く

予防医学者 石川善樹氏

 予防医学者の石川善樹氏がさまざまな分野のエキスパートと対談しながら、脳とうまく付き合う方法を探る連載シリーズ。第6回はリオデジャネイロオリンピック・パラリンピック直前ということで、元陸上選手の為末大氏にご登場いただきました。世界選手権で2度の銅メダルに輝き、オリンピックにも3度出場。その経験を生かし、様々な分野で情報発信し、最近は義足の開発にも携わる為末氏。五輪は選手をどう変えるのか、人間の限界はどこまで広がるのか、スポーツにおける公正さとは何か、石川氏が鋭く迫りました。

現役時は「今がピーク」と気づかない

石川 善樹氏(いしかわ よしき)<br>

広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科卒業後、ハーバード大学公衆衛生大学院修了。「人がより良く生きるとは何か」をテーマとして学際的な研究を行う。専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学、マーケティング、データ解析等。講演や、雑誌、テレビへの出演も多数。NHK「NEWS WEB」第3期ネットナビゲーター。著書に『疲れない脳をつくる生活習慣』(プレジデント社)、『最後のダイエット』『友だちの数で寿命はきまる』(ともにマガジンハウス)など。 石川 善樹氏(いしかわ よしき)
広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科卒業後、ハーバード大学公衆衛生大学院修了。「人がより良く生きるとは何か」をテーマとして学際的な研究を行う。専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学、マーケティング、データ解析等。講演や、雑誌、テレビへの出演も多数。NHK「NEWS WEB」第3期ネットナビゲーター。著書に『疲れない脳をつくる生活習慣』(プレジデント社)、『最後のダイエット』『友だちの数で寿命はきまる』(ともにマガジンハウス)など。

石川 オリンピックやパラリンピックは人間の限界への挑戦が大きなテーマになっていますよね。肉体と心理の両面あると思うんですが、為末さん自身は現役時代、肉体の限界をいつ、どんな風に感じてましたか。

為末 現役のうちに、「今がピークだな」と思う選手はいないんじゃないですかね。みんな、今は途中だと思ってる。終わってみて初めて、「ああ、あの時がピークだったんだな」とわかる。ただ、ピークの定義づけは難しいですね。肉体的にはあの時がピークだったけど、競技力は今の方が上だとも言えます。たとえて言えば、F1のマシンとドライバーの関係でしょうか。マシンは昔の方がよかったけど、ドライバーは今の方がいいと。

石川 なるほど。

為末 体は衰えていくけど、体を動かす技術は洗練されていきます。競技のパフォーマンスは両方のかけ算ですから、大体の選手は体を鍛えることから、使いこなす方へとシフトしていく。つまり、戦い方が競技生活の前半と後半とで変わるわけです。

石川 研究者の世界でも頭脳の限界について研究があって、昔は若い方がクリエイティビティーが高いと信じられていたのですが、最近、どうもそうじゃないらしいと言われ始めています。たとえば、日本人のノーベル賞受賞が増えていますが、ノーベル賞級の研究を始める年齢は大体、40歳前後なんですね。40歳くらいにならないと本当に面白い研究はできなくなっている。どんどん遅くなっているんです。

為末 どうして遅くなっているんですか。

石川 研究の世界が、狭く、深くなっているからです。専門的なことを掘り下げようとするから、すごく時間がかかるようになっています。話をスポーツに戻すと、技術的な面は進化しているイメージがありますが、肉体そのものの能力を伸ばす方法というのは進化しているんでしょうか。

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