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グローバル対談

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英国のEU離脱でリーマン・ショック再来?

田中直毅氏×滝田洋一編集委員 トークイベント

 6月23日に欧州連合(EU)の離脱の是非を問う国民投票が迫る英国。離脱でリーマン・ショック級の経済危機は起こるのでしょうか。さらに、止まらぬ中国からのマネー流出、米国大統領選挙後の社会の変容、出口が見えない金融緩和競争など、世界経済の激変を巡って経済評論家の田中直毅氏と日本経済新聞の滝田洋一編集委員が対談しました。6月13日に日本経済新聞出版社が開催したトークイベントの模様をお届けします。

滝田 田中さんは今回、著書『中国大停滞』の中で中国経済は停滞期にあるという見立てをされました。そこでまずうかがいたいのは、中国の発展モデルがどういう理由で今、行き詰まりを迎えてしまったのかということです。

田中 中国は資本投入と労働投入によって改革開放から30年、高い成長を続けてきました。しかし、30年たって中国の賃金水準が上がったために、中国の後に続いてきた東南アジアや中南米の一部の国、例えば、メキシコの賃金水準の方が相対的に低くなってしまいました。そうすると、グローバル企業は、中国でつくるよりメキシコでつくって鉄道で米国に持って行くほうが安くつくと考えました。

田中直毅氏 田中直毅氏

 私がメキシコ政府の人から「米国の背中を捉えました」と聞いたのが2011年のことです。データでも、2011年は中国から米国に持ってくる製造品の物量の伸び率が大幅に鈍化し、他方でメキシコから鉄道を通じて米国に入ってきた製造品は、前年比2ケタの伸びを示しています。メキシコだけではなく、ほかの国に対しても中国の製品の競争力が衰え始めたのです。2011年は、残念ながらそれまでの中国の経済発展モデルの勢いがなくなった年といえるのではないでしょうか。

 中国は、労働と資本に加え、技術進歩、革新、新しいイノベーションを伴う生産工程などを入れた全要素生産性(トータル・ファクター・プロダクティビティ)でないと、成長を展望できないところにきたということです。しかし、中国は今日まで、新しい時代の発展モデルを提示できていません。何とか歯をくいしばって新しいモデルを提示しようとしていますが、障害が多すぎるのが現状です。

リーマン後、中国は世界の救世主と言ってくれたのに

滝田 2008年のリーマン・ショックの直後、中国が約4兆元の経済対策を行ったおかげで、世界経済は大破局を免れたというストーリーがありました。中国が光まばゆかったころからまだ10年もたっていないのに、そんなに絵柄が変わってしまうものかと思っているのですが、その辺りはどうご覧になっていますか。

田中 今、米国と中国の間で戦略対話が行われています。米国のルー財務長官と、中国の楼継偉財政部長が議論しているのですが、まさに滝田さんが言われたように、「中国はリーマン・ショック後の世界経済を救ったと、皆言ってくれたじゃないか」というのが中国の思いです。ただ、救済策だった鉄鋼業への投資も、結果的には鉄が余ってしまいました。「あのときは世界経済の救世主だと言っていたのに、たまたま我々が製鉄所をつくりすぎちゃって、余ったものをあちこちもってきて迷惑だという言い方はいかがなものか、あなた方の言い方は整合性がないよ」とは、楼財政部長の恨み節。きっと一言、言いたかったんですね。

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