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奔流ASEANと日本企業

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経済統合を機に躍進するASEAN企業

ローランド・ベルガー シニアコンサルタント 石毛 陽子氏

 ASEAN(東南アジア諸国連合)地域が新たな飛躍のときを迎えている。2015年12月にASEAN経済共同体(AEC)が発足。域内の大手企業はAECを成長への好機ととらえ、国をまたいだ投資や、生産拠点の最適化へと動き始めた。ただ、ASEAN企業の多くは技術力やブランド力に課題を抱え、さらなる躍進には経営の高度化が欠かせない。日本企業はこうした企業とどう関わり、ASEAN地域の成長の果実をどう得ていくべきか。

AECが発足したものの、ASEAN一体化への道のりは長い

 ASEAN地域の成長に向けて各国が一体となった取り組みとして、2003年に構想されたASEAN経済共同体(AEC)が、2015年12月末より発足した。AECは、ASEAN域内でヒト・モノ・カネの移動を自由化し、ビジネスのインフラも整え、グローバルとも連携して加盟国が発展していくことを目的としている。そのため、取り組みは関税の撤廃のみならず、専門職者の移動自由化や、(ASEAN国同士の)外資投資規制の撤廃、インフラや法制度の整備、中小企業のサポート等、多岐にわたる。

 各国の努力により、発足までにAECの取り組みは大きく前進した。例えば、関税の撤廃は順調に進み、2018年には後発加盟国も含め、原則0%関税となる見込みである。また、各国で知的財産や消費者保護、競争政策にかかる制度の構築も進んだ。

 しかし、まだ課題は山積している。貿易の観点では、関税が撤廃されても非関税障壁(輸入数量を制限する等)は残されており、自由なモノの行き来には程遠い。インフラの整備もまだ時間がかかるし、専門職者の移動自由化も進んでいない。国によっても温度差があり、ASEANの中でも豊かなタイやマレーシアは積極的にAECを推進している一方、インドネシアやベトナム、カンボジア等は人材流出や競争激化を恐れ、やや内向きな傾向がある。

 当初設定された目標の中で発足時に達成できないものは、引き続き、10年後に向けた「AECブループリント2025」に沿って取り組まれることとなる。2015年末の発足は、1つのマイルストーンに過ぎない。

既に動き出しているASEANマネー

 AECの取り組みは道半ばではあるが、ASEANの一部企業はAECを好機と捉え、着実に越境投資や事業のASEAN域内最適化を進めており、それが翻ってAECを後押しする構図となっている。ASEAN国間の直接投資額は、2009年には100億ドルに達しなかったものが、5年後の2014年には200億ドルを超える規模になった(図表1)。

図表1 ASEAN域内の対外直接投資(米ドル) 出所:ASEANSTATS 出所:ASEANSTATS

 投資先として、金融・貿易の中心国であるシンガポールへの資金流入はもともと大きかったが、近年は豊富な資源があり、消費市場も成長しているインドネシアやベトナム、そして今後の発展が注目されているミャンマーへの先行投資が目立ってきている。

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