日本経済新聞 関連サイト

ICTで築く明日の社会

記事一覧

協力:NTTドコモ

TPPに負けない、最新鋭「ロボット牧場」

日本政策金融公庫 農林水産事業本部 テクニカルアドバイザー 加茂 幹男氏

 乳しぼりも、子牛への授乳もロボットがお手伝い――。生き物を扱う畜産業の現場にも、自動化の波が押し寄せている。生産コストの増加や後継者不足に加え、環太平洋経済連携協定(TPP)など国際環境の変化が畜産経営に変革を迫っているためだ。最先端のロボットを活用し、大規模経営で成果をあげる牧場も現れ始めた。将来にわたって私たちの豊かな食生活を支えるために、グローバル化の中で奮闘する畜産業界の動きを紹介したい。

先を見通す能力が求められる

 私たちが当たり前のように口にしている牛肉や豚肉、そして牛乳などの乳製品。しかし、食卓に届くまでには農家が大変な手間や時間をかけて育てている。和牛の場合、生まれてから肉用として出荷されるまでには約28~30カ月、すなわち肉になるまでに約2年半もかかる。乳牛の場合も、子牛が生まれてから生乳を生産するまでに24~26か月とほぼ2年の期間が必要だ。

 経営者に求められるのは、先を見通す能力であり、生き物を適切に扱う高度な能力を持つ人材をいかに確保し育てるか、そして、ICT(情報通信技術)などの先進技術をいかに活用していくかが生き残りと成長の大きなカギとなる。

 牛を飼い、牛肉を生産する肉用牛経営は、一般に子牛を生産・販売する繁殖経営と、子牛を肥育して販売する肥育経営に分かれている(図1)。繁殖経営では、繁殖雌牛を飼い、1年に1回程度、子牛を産ませて、大切に育てた後に8~9ヵ月齢(250~300kg)の子牛を市場に出荷する。肥育経営では、家畜市場から子牛を買い入れて飼育し、28~30ヶ月齢750kg前後に育てて食肉センター等へ出荷する。

図1 肉用牛生産の流れ

PICKUP[PR]