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「エンゲージメント」が経営を変える

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刻々と変わる顧客の気持ちに寄り添う

ローランド・ベルガー プリンシパル 田村 憲史郎氏

 前回(利害でなく「愛」でつながる最強の企業)に引き続き、英国の小売り大手TESCOに対するAmazonの強さに触れたい。Amazonのエンゲージメントの象徴がAmazon Primeだ。もともとは既存のルールに則った豊富な品ぞろえを安くスピーディーに手に入れるための制度だった(即日配送や会員向け限定セールなど)。ここまでは楽天やイオンと見ている方向は同じだ。この領域ではTESCOは最強のパフォーマンスを誇っている。

事業でなく技術を軸に考える

 しかし、Amazonの見ている世界は徐々にその形を変えていった。Prime Musicによる音楽聴き放題。Prime Videoによる映画やテレビ見放題、Prime Photoによるストレージサービスの使い放題。なぜ彼らはこのようなサービスを提供しようと考えたのか。

 答えは彼らが事業軸(結果)ではなく、ネット企業としてIT(情報技術)軸(要素)で物事を見ているからであり、またその結果としてユーザーという主語で物事を見るようになっているからだ。「本や家電をどう売るか」ではなく「クラウド技術でユーザーに何ができるか」という風に考えるということだ。

 結果としてPrime会員は爆発的に増加し、その定常的な会費という安定収入が投資余力を生み、さらなる新機能の打ち出しを可能にする。そして、ますます1日のうちにAmazonと接している時間が増え、その連続がAmazonの顧客エンゲージメントを強化する。

 1人の人間の時間を埋めていくという発想が顧客エンゲージメントの根幹を成す。グーグルやアマゾンは常に企業の形そのものを連続的に変えながら常に新しい領域拡大にトライし、実現している。

 現代における覇者たる存在であるためには進化し続けなくてはならない。何の会社かユーザーが表現できてしまうようでは、企業軸で考えている証左であり、スピード感が遅すぎる。ユーザーの生活がスピーディーに変化しているのだから、こちらも変化し続けなくてはならない。永続的モデル構築を指向することそのものが、すでに時代遅れだ。

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