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中国大停滞

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「赤い資本主義」は世界と共存できるか

経済評論家 田中 直毅氏

 中国と発展途上諸国との関係を考えてみると、際立っているのは資源の購買力である。それ以外については中国が大きな力を持ち、国際的な経済秩序を作り上げる力を持っているとはいえない。

レベルの低い自由貿易協定

 たとえば自由貿易協定(FTA)について考えてみる。中国が中心になって作ったFTAはいくつもある。しかしその水準については、きわめて限定的なものと考えられる。

タイと中国が協力する鉄道事業は大幅に縮小された(昨年12月の起工式) タイと中国が協力する鉄道事業は大幅に縮小された(昨年12月の起工式)

 たとえば習近平総書記と朴槿恵大統領との間で中国と韓国のFTAの枠組みが合意された。中国と韓国との間にFTAが成立するとなれば、日本流にいえば耳をそばだてるべきところだが、実際はそうではない。韓国の当事者に聞くと、その水準はきわめて低いものだという。

 高質な自由貿易協定というには恥ずかしく、内容はとても胸を張って紹介できるものではない、というのが韓国サイドの受け止め方である。すなわちFTAを結ぶものの例外も多く、関税の引き下げ率も限られたものであり、投資についていえば自由な投資の実現を保証する高い質のものではないという。

 このように、ただ額縁にFTAと銘打っただけのFTAが多いのが現実だ。そう考えると、中国を中心としてFTAの環が諸方面に伸びるという経済地図が描けないわけではないものの、その内実については経済体質を組み替え、高度化するものとはあまりにも距離があるといわねばならない。ということは、中国の周辺諸国を含めた途上国に対する関与能力はきわめて限定的なものといえる。

資源購買力も退潮

 際立っていた資源の購買にかかわっても、中国の成長屈折が明らかになるなかで、アジアのみならずアフリカにおいても現実関与能力は今後むしろ退潮すると考えられる。資源買い取り能力の低下によって、アジアの資源国、たとえばインドネシアの石炭やタイの天然ゴム、農産品についても、中国の購買力の伸びは限定的なものになる可能性が出てきた。

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