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中国大停滞

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疑わしい巨大プロジェクトの実現

経済評論家 田中 直毅氏

 中国の内部では、果たして「AIIB(アジアインフラ投資銀行)」や「一帯一路(ワンベルト・ワンロード=新シルクロード構想)」は機能するのかという、実態分析に基づく本格的な議論が始まった気配がある。

中国で浮上するAIIB、一帯一路への疑問

 AIIBとはアジア諸国のインフラ整備のための金融機関を設立し、投資プロジェクトを通じてインフラ整備を進めていこうという中国主導の構想である。一帯一路は新シルクロード構想ともいわれるもので、かつてのシルクロード周辺地域である中央アジア諸国、北東アジア、インド洋、中東、欧州の各地域を海洋、陸路双方で中国と結びつけるという巨大な投資構想である。

AIIBの金立群総裁は日米の参加を期待するが AIIBの金立群総裁は日米の参加を期待するが

 習近平総書記は、実質上の就任から1年も経過しない時点において欧州・アジア諸国の経済連携、相互協力を深めるための協力をもとに「シルクロード沿線諸国の人々に幸福をもたらす大事業」として「『シルクロード経済ベルト』を構築することができる」と、シルクロード構想を次のように提示した。

 「シルクロード経済ベルトの人口総数は30億人近くに達しており、その市場の規模と潜在力は世界一で、貿易と投資の分野における各国間の協力は非常に大きな可能性を秘めている。それゆえ、各国は貿易と投資の利便化の問題について検討したうえで適切な対応策を講じて、貿易の障壁を取り払い、貿易と投資のコストを引き下げ、地域経済の循環速度と質を向上させ、互恵・ウィンウィンを実現すべきである」(カザフスタン・ナザルバエフ大学における講演、2013年9月7日、『改革の全面的深化について』外文出版社、216ページ)。

 そして、その後2ヵ月もたたない時点で、AIIBの設立との関連にも触れた。このとき言及された「ウィン・ウィン」という性格付けは、中国政府が近隣諸国との関係を、この構想の中に規定するにあたって常に使用されることとなった。

 「互恵、ウィンウィンの枠組みを深めることに力を入れなければならない。経済、貿易、科学技術、金融などの面における資源を統一的に組み合わせ、比較優位を十分に活用し、周辺諸国との互恵協力を深めるための戦略的な共通点を的確に探り当て、積極的に地域経済協力に参加する」。

 「また、地域的金融協力を絶えず深め、積極的にアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立を計画し、地域的金融セーフティーネットを完備しなければならない。国境地域の開放を加速し、国境沿いの省・自治区と周辺諸国との互恵協力を深めなければならない」(周辺外交活動座談会における談話、2013年10月24日、前同、221~222ページ)。

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