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中国大停滞

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グローバル経済下で膨れ上がる金融リスク

経済評論家 田中 直毅氏

 中国経済の減速が鮮明になる2014年以降、中国の金融政策は迷走を続けてきた。本格的な金融緩和が必要だったが、国外への資金流出を防ぐためのドル売り人民元買いを優先せざるを得ず、金融市場は逼迫。2015年夏には株価が急落し、今年に入ってからは人民元売りにも拍車がかかった。政策担当者がここまで実態把握力を失ったのはなぜか。

開放経済のもとでの金融調節という難問

 資金繰りが悪化した民有企業であれ国有企業であれ、海外や香港において社債の追加発行で資金を調達しようとしても今日では難しい。なぜならば、社債発行をしようとすれば、高いクーポンレート(発行金利)にならざるをえないからである。当然ハイクーポンの社債発行は抑制せざるをえず、資金繰り悪化に対して十分な手段とはならない。

株価ボードを見つめる投資家ら(2015年7月) 株価ボードを見つめる投資家ら(2015年7月)

 ここに至れば、すでにクローズド・エコノミーとはいえない中国において2つの流れが生ずる。ひとつは海外の投資主体に関するものであり、もうひとつは中国内の投資主体に関するものである。

 海外の投資主体は、中国経済において大幅な需給不均衡が発生し短期間に解消する可能性が乏しいと判断するので、新規の直接投資は控えざるをえない。さらには、すでに投資した分についても撤収を考えるのが通常である。そして、中国の内部において資本形成を行ってきた主体も資金を外に持ち出す行為を始める。

 こうした兆しはすでに2013年には相当明確なものとなっており、個別的にいくつかの事例が見られてきた。当時においては中国の経常収支は黒字であり、資本収支は赤字ではあったものの、外貨準備が積み上がる程度の総合収支の黒字となった。しかし2014年夏以降になると、外貨準備も減少に転ずることになる。このことは、次のように説明することができよう。

 外貨準備の管理は中国人民銀行が行う。経済の需給失調により、中国の経済リズムが悪化すれば、人民元の見通しはどうか。為替安にならざるをえない。背景で資金の純流出が起きるからである。海外からの投資が止まり国内の資金が外に出れば、当然のことながらマーケットでは人民元は売られ、ドルが購入される。

 そこで為替管理当局は、ドル売り人民元買いの操作を行う。減少したとはいえ、2015年末でも3兆3300億ドルの外貨準備を保有している。このため、ドルを売って人民元を買うことに2014年当時は躊躇はなかった。ところが、この問題は国内の金融情勢に跳ね返る。すなわち、当局のドル売り人民元買いの操作により、貨幣が市中から外国為替管理当局に吸い上げられることになり、結果として金融市場が引き締まる。

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