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新しい大人消費が日本を動かす

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消費の常識覆す「大人のポパイ・JJ世代」

博報堂 阪本節郎 氏

 『突如、テレビ視聴率を左右し始めた大人世代』で述べたように、日本の消費の重心が「若者/ファミリー」から「40代・50代以上の大人世代」へと急速に移動している。それは新しい大人消費が圧倒的な存在感を示し始めただけでなく、ポパイ・JJ世代(50代半ば~60代前半)らの消費行動が従来の消費の常識を大きく変えていくことにもなる。ポイントを4つ挙げた上で、新しい大人世代の消費行動パターンを見ていこう。

「ファミリー消費」から「個人型消費」へ

 50代になると子供は独立し、「ファミリーを一旦卒業」する。そして「個人型消費」が始まる。この「個人型消費」には2つ意味がある。第1は「家族のためにから自分(たち)のために」という変化であり、「家族のためにガマンする消費」から「自分(たち)のために余裕をもってする消費」への変化でもある。第2には「家族仕様の消費から個人仕様の消費」であり、「3人分・4人分という消費」から「1人ないし2人のための消費」である。

 この第1と第2が掛け合わせられることにより、「ちょっと高くても自分が欲しいと思えば選択的に購入する」消費になる。

 このうち第1の、「家族のためにから自分(たち)のために」する消費から見ていきたい。40~60代に退職金や貯蓄投資で得たおカネの使い道を聞いたところ、「自分および夫婦のために使う」が66.9%で、「子孫に残す」は10.5%しかなかった。その傾向は50代・60代と年代が上がるにつれて強まる。とりわけ男性60代に至っては、「自分および夫婦のために使う」が73.8%に上昇し、「子孫に残す」は9.8%に下がる(図表28)。自分が稼いだカネは自分(たち)で使う、なんで子や孫に残さなければならないのだ、というぐらいの意識である。

<b>子孫に美田を残さずおカネは自分(たち)のために使う</b><br>(出所)博報堂新しい大人文化研究所調査、2012年、40~69歳男女、全国2700人対象。 子孫に美田を残さずおカネは自分(たち)のために使う
(出所)博報堂新しい大人文化研究所調査、2012年、40~69歳男女、全国2700人対象。

 また、65歳を過ぎると配偶者に先立たれた単身世帯が増える。とくに女性に多くなり、「個人型消費」になる。40代以下の若い世代でも非婚単身世帯が増えており、「個人型消費」になる。「個人型消費」は50代以上のみならず、これからの消費のひとつの主流となるとみられる。

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